粉体加工技術は、さまざまな産業で製品の品質や機能性を高めるために必要な技術です。とくに、粉体の粒度を調整する分級は、特定の粒径範囲の粉体を効率よく選別する重要な工程です。しかし、自社で高度な分級設備を導入し、運用するには多大なコストがかかります。そこで、今回はおすすめの粉体受託加工会社を3社紹介します。
分級の受託加工を成功させるポイント
分級の受託加工は、自社では対応しきれない精密な粒子径制御を専門設備で実現できる反面、「想定した粒子径範囲に収まらなかった」「歩留まりが低すぎて量産に移れなかった」というトラブルも少なくありません。成功のカギは、目的の明確化・適切なパートナー選び・綿密な連携の3つにあります。それぞれのポイントを詳しく解説します。1. まず「何のために・どこまで」を徹底的に整理する
受託加工を依頼する前に、社内でゴールを明文化しておくことが最初の一歩です。目的が曖昧なまま相談を始めると、受託会社との認識のずれが生じやすく、試験のやり直しや納期の遅延につながります。分級の目的を明確にする
まず、何のために分級を行うのかを具体的に言語化しましょう。主な目的としては以下のようなものが挙げられます。粗粒の除去
微粉の除去
特定の粒子径範囲を製品として切り出す
製品に許容できる微粉・粗粉の混入率の管理
目的が複数ある場合は、優先順位も決めておくと受託会社への依頼がスムーズになります。なお、混入率は原料の粒子径分布に大きく左右されます。「混入率〇〇%以下」という目標を設定する際は、原料ロット間のばらつきも考慮に入れておきましょう。
原料の特性を正確に把握する
受託加工の出来栄えは、原料の特性をどれだけ正確に把握しているかに大きく左右されます。以下の項目を事前に整理しておきましょう。材質・種類: 無機物、有機物、金属、樹脂など
粒子径分布: D10、D50、D90など
粒子形状: 球形、針状、板状など
付着性・凝集性: 凝集しやすい条件や程度
吸湿性・流動性: 吸湿環境、ブリッジ発生の有無
静電気特性: 帯電しやすいかどうか
特に注意が必要なのが粒子形状です。針状や板状など球形から大きく外れる場合、粒子径の測定方法が評価結果に直接影響します。「詳しいことは受託会社に聞けばいい」と思いがちですが、原料情報の提供は委託元の責任です。情報が不足すると、最適な加工条件の設計ができませんので注意しましょう。
目標品質を数値で定める
「なんとなくそろえたい」では受託加工は進みません。目標品質を具体的なスペックとして設定することが必要です。目的とする粒子径範囲(上限・下限)
粒子径分布のシャープさ(分級精度)
回収率(歩留まり)の許容範囲
各粒子径区分での純度
粗粒側・微粉側の両方が製品になるのか、片方のみか
生産規模を明確にする
現在のフェーズと将来の量産規模を明確にしておきましょう。試作段階: 数kg〜数十kg
量産段階: 数百kg〜数t以上
最初から量産を見据えた受託会社を選ぶことが、後工程での余計なコストや手戻りを防ぎます。
2. 適切な受託加工会社を見極める4つの視点
分級の受託加工において、受託会社の選定は成否を分ける最重要ステップです。篩分け、気流分級(遠心力・慣性力)、サイクロンなど、分級の手法は多岐にわたります。自社の原料・目的に合った技術と設備を持つ会社を選ぶことが、成功の大前提です。実績とノウハウ
まず確認すべきは、自社の原料や類似原料での分級実績があるかどうかです。同種・類似原料での加工実績が豊富か
微粒子・超微粉分級の経験があるか
付着性・凝集性の強い粉体への対応ノウハウがあるか
長年の経験に基づく蓄積されたノウハウがあるか
実績の有無は、会社の技術力を測る最も信頼できる指標です。事例紹介や技術資料の開示を依頼するとよいでしょう。
保有設備の多様性
分級方式は一つではなく、原料特性や目標品質によって最適な手法は変わります。以下の観点で設備の充実度を確認しましょう。各種篩、気流分級機、サイクロンなど多様な分級装置が揃っているか
前後工程(粉砕・解砕・ロット調整用の混合など)も一貫して対応できるか
微粒子のシャープな分級が必要な場合、高精度分級機を保有しているか
加工設備が社内に揃っているほど、外注による品質・工程管理のリスクが減り、コスト面でも有利になります。
品質管理体制
製品品質を保証するためには、受託会社の品質管理体制の確認が不可欠です。コンタミネーション(異物混入)防止策が講じられているか
レーザー回折式粒子径分布測定装置など、評価設備が充実しているか
適切なサンプリング技術・管理手順が確立されているか
「加工はできる」と「品質を保証できる」は別物です。評価設備と管理体制の両方を確認しましょう。
技術提案力
優れた受託会社は、「依頼通りに加工する」だけではありません。自社の原料特性と目的を理解した上で、以下のような積極的な技術提案ができるかを評価しましょう。原料・目的に最適な分級方式の選定
分級条件(分級点・風量・風速・篩目開き・処理量)の最適化
解砕・分散処理など前処理の必要性の判断
担当者の説明が「できます」の一言で終わる会社より、「この原料であればこの手法が向いており、この点に注意が必要です」と具体的に話せる会社を選ぶべきです。
3. 受託加工は「二人三脚」のプロジェクト
受託加工は、委託元が丸投げして完成を待つものではありません。委託元と受託先が協力してゴールを目指す共同プロジェクトです。連携の質が、成果物の品質を左右します。情報共有は「隠さず、詳細に」
原料に関する情報や要望を、できる限り正確かつ詳細に共有することが大原則です。原料の物性(粒子径分布、付着性、静電気特性など)
取扱い上の注意点・安全性情報(爆発性・可燃性など)
目標とする粒子径範囲と許容誤差
用途・懸念事項・過去の失敗経験
特に、凝集しやすい原料や静電気を帯びやすい原料については、事前に必ず伝えてください。後から判明すると、設備設定や処理フローの見直しが必要になり、余計なコストとタイムロスが発生します。「不利な情報を伝えると断られるのでは」という心配は無用です。専門の受託加工会社であれば、難しい原料への対処法を持っています。
必ず試験分級を実施する
本生産に入る前に、少量での試験分級(テスト)を必ず実施しましょう。確認すべき主なポイントは以下の通りです。目標とする粒子径範囲が得られているか
分級精度は十分か
回収率は許容範囲内か
分級条件の設定に問題・改善点はないか
試験分級の段階で問題を発見・修正することで、本生産でのロスやトラブルを大幅に減らせます。コストを惜しんでこのステップを省略することは、後々より大きなコストにつながりかねません。
受託加工は、適切なパートナーと丁寧なプロセスを踏めば、自社だけでは実現できない精密な分級を現実のものにできる強力な手段です。これらのポイントを押さえて、最適な依頼をしましょう。
ホソカワミクロン

引用元:https://www.hosokawamicron.co.jp/
| 会社名 | ホソカワミクロン株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | ■本社 大阪府枚方市招提田近1丁目9番地 ■工場所在地 ・つくば篠崎工場 ・つくば和台工場 ・大阪事務所技術開発センター ・東京事業所 東京テストセンター |
| 電話番号 | 072-855-2226 |
サブミクロンまでカバーする多彩な分級機ラインナップ
同社の受託加工が強力に支持される理由は、自社開発による分級機のバリエーションの豊かさにあります。気流式分級機の代名詞である「ミクロンセパレータ」をはじめ、超微粒子領域を狙える遠心力型気流式分級機「ATP型分級機(ターボプレックス)」などを保有。 特にATP型分級機は、高精度な粒子径コントロールが求められる材料に対し、D97<2μmというサブミクロン領域の分級をも可能にします。「数μmで粒度を綺麗に揃えたい」「粗粉を徹底的にカットしたい」など、要求される精度レベルに合わせた最適な機種選定を提案してくれます。さらに、ATPをベースに、分級後の粒子の平均径がサブミクロン領域に達するよう開発された分級機により、サブミクロン領域での高精度な分級も可能です。
粉砕と分級の「インライン一体化」がもたらす高い収率
分級単体だけでなく「粉砕と分級を一連の工程で最適化」できる点も大きな強みです。代表的な衝撃式微粉砕機「ACMパルベライザ」や「カウンタジェットミルAFG」は機内に分級機を内蔵しており、過粉砕を防ぎながらシャープな粒子径分布の製品を効率よく得られます。「粉砕から再分級まで一貫対応」できるため、工程を分けることによる運搬の手間やコンタミリスク、付着ロスを徹底的に排除。さらには付着性が強い・熱に弱いといった難加工原料でも、約100年のノウハウから最適な処理フローを設計してくれます。
製品を即座に検証できる測定体制と、クリーンな環境
分級後の製品物性をその場で即座に検証できるインフラも、同社の信頼性を裏付けています。レーザー回折散乱式や画像解析による粒子径分布測定はもちろん、「パウダテスタ」を用いた流動性やかさ密度の評価まで専任者が実施。試作段階でのシビアな条件追い込みが非常にスムーズです。さらに、一般加工15区画・清浄加工5室という厳格な独立環境に加え、装置のセラミック仕様による金属コンタミ対策も万全。医薬や電子材料、電池材料といった極めて高い清浄度が求められる最先端分野において、これ以上ない安心感を持って分級を委託できる体制が整っています。
アイ・エム・マテリアル

引用元:https://www.im-material.co.jp/
| 会社名 | アイ・エム・マテリアル株式会社 |
|---|---|
| 所在地 | ■本社 大阪市北区西天満4丁目8番17号 宇治電ビルディング ■工場所在地 ・京都工場 |
| 電話番号 | 06-6530-1011 |
とくに、熱に弱い素材や特殊な粉体の加工において、高い技術力が活かされています。アイ・エム・マテリアルの特徴について見ていきましょう。
低温粉砕で仕上がりなめらか!
アイ・エム・マテリアルは、液体窒素を使用する低温粉砕技術に強みを持っています。低温粉砕技術は、常温での粉砕が困難な熱可塑性樹脂や粘着性の高い素材、香気成分を持つ素材など、熱に弱い材料を効率よく、かつ品質を損なうことなく微粉化することが可能です。通常、粉砕過程で発生する熱は、素材の変質や劣化を引き起こすことがありますが、液体窒素で冷却することで、変質や劣化を防ぎます。低温で粉砕された粉体は、粒子の損傷が少なく、とても滑らかな仕上がりになるため、化粧品や医薬品、食品添加物など、高い品質が求められる製品に適しています。
アイ・エム・マテリアルの主要設備機器
アイ・エム・マテリアルが保有する設備は、多様な粉体加工ニーズに対応できるよう、幅広く取り揃えられています。たとえば、ラボ機から量産機まで、さまざまなスケールの粉砕機、分級機、混合機をラインナップしています。幅広く取り揃えることにより、研究開発段階の小ロットから、商業生産の大ロットまで、柔軟に対応可能です。また、設備機器は、異物混入を防ぐための徹底した清掃・管理体制のもとで運用されており、とくに食品や医薬品分野における高い要求基準を満たしています。
アイシンナノテクノロジーズ

引用元:https://www.aishin-nanotech.co.jp/
| 会社名 | 株式会社アイシンナノテクノロジーズ |
|---|---|
| 所在地 | ■本社 埼玉県川口市青木4-7-24 ■工場所在地 ・本社工場 ※近隣に第二工場あり |
| 電話番号 | 048-452-4155 |
研究開発から量産まで、幅広いニーズに対応できる柔軟な体制が強みの会社です。アイシンナノテクノロジーズの特徴について見ていきましょう。
0.5ミクロンまで分級が可能な機器を導入
アイシンナノテクノロジーズの強みのひとつは、超微粒子の精密な分級能力です。導入している風力分級機は、0.5ミクロンという非常に微細な粒径まで高精度に分級することが可能です。高精度な分級は、顔料、電子材料、医薬品、化粧品など、粒径の均一性が製品の性能を左右する分野において、極めて重要な技術となります。超微粒子分級技術により、従来では難しかったナノレベルでの品質管理を実現し、付加価値の高い製品開発に貢献しています。
大量生産も受け付けている
超微粒子分級の技術を持つアイシンナノテクノロジーズは、大規模な生産に対応できる体制も整えています。ラボスケールでの試験から、商業量産まで、お客さんのニーズに合わせてシームレスにスケールアップすることが可能です。また、長年にわたり培ってきたノウハウと、徹底した品質管理体制により、大量生産でも安定した品質の製品を供給します。クライアントの製品開発サイクルを加速させ、市場投入までの時間を短縮するための心強いパートナーとなるでしょう。
【その他】分級を行う粉体受託加工会社
- 日清エンジニアリング
会社名 日清エンジニアリング株式会社 所在地 東京都中央区日本橋小網町14-1 住生日本橋小網町ビル 公式HP https://www.nisshineng.co.jp/processing/ - 喜多村
会社名 株式会社喜多村 所在地 愛知県愛知郡東郷町大字春木字白土 1-242 公式HP https://www.kitamuraltd.jp/biz/funsai/setsubi - セイシン企業
会社名 セイシン企業 所在地 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-34-7NX新宿ビル9F 公式HP https://www.betterseishin.co.jp/ - フロイント・ターボ
会社名 フロイント・ターボ株式会社 所在地 神奈川県横須賀市内川1-2-10 公式HP https://www.freund-turbo.co.jp/ - 株式会社マツボー
会社名 株式会社マツボー 所在地 東京都港区浜松町1-30-5 浜松町スクエア12F 公式HP https://www.matsubo.co.jp/ - 大阪ガスリキッド
会社名 大阪ガスリキッド株式会社 所在地 大阪府大阪市中央区北浜4-7-19 住友ビルディング第3号館5階 公式HP https://www.liquidgas.co.jp/ - 太平洋コンサルタント
会社名 株式会社太平洋コンサルタント 所在地 東京都千代田区神田錦町2-9 コンフォール安田ビル3階 公式HP https://www.taiheiyo-c.co.jp/ - エヌテック
会社名 エヌテック株式会社 所在地 福岡県北九州市若松区藤ノ木2丁目6-47 公式HP https://n-techchem.com/
まとめ
粉体受託加工の中でも分級技術に強みを持つ、ホソカワミクロン、アイ・エム・マテリアル、そしてアイシンナノテクノロジーズを紹介しました。ホソカワミクロンは、100年を超える歴史と実績に裏打ちされた総合的な粉体ソリューションを提供する頼もしい存在です。アイ・エム・マテリアルは、低温粉砕技術で熱に弱い素材の微粉化を得意とし、高機能な粉体を実現します。そして、アイシンナノテクノロジーズは、0.5ミクロンという超微粒子分級の精密技術で、ナノレベルでの品質管理を可能にします。3社ともお客さんの抱える課題を解決し、製品に新たな価値を生み出すためのパートナーとなるでしょう。自社の粉体加工のニーズに合わせて、今回紹介した3社の技術やサービスを比較検討し、最適なソリューションを見つけてください。よくある質問
- Qどんな会社に頼めばいい?A扱いたい粉体の種類と加工内容、必要な粒度分布、ロットサイズに実績がある会社を選ぶと良いようです。
- Q小さいロットでも依頼できる?A多くの受託加工会社は試作・開発段階の小ロットに対応しているようです。
- Qコストはどれくらい?A加工内容、ロットサイズ、粉体の危険性や付着性などで大きく変動します。複数の会社から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。
- QISO認証は必要ですか?A食品・医薬品業界ならISO9001やGMP対応の工場が望ましいようです。